ハナショウブとアジサイ──花茎を切り取り、株分け

季節の花を楽しむためには前の年の花が終わってからの管理が最も大切である。
ハナショウブは花が終わったらまず花茎を根元から切りとる。古い株は株分けをするか、スコップで株の元気の所を傷めぬように大きく半分から3分の2掘り抜いて、後の穴を他の所の土で埋めておく。
1葉芽ごとに株分けをするのが普通だが、当地は夏の高温乾燥期の灌水管理が大変だから、数芽株に分け、葉を3分の2切りとって植えつける。植えかえ後20日は乾かぬように注意する。水辺である必要はない。花が終わると葉を束ねたり刈りとってしまうのは最悪。枯れ葉は翌年の春の発芽まで株の上にかけておくことが良花を咲かせる最終の良法である。なお、アヤメは野生で、6月上旬原野等に咲き、花弁の基部の黄色の所に褐色の網目アヤメがあるので、ハナショウブと区別できる。
アジサイは当地は冬は低温すぎて花芽が凍死して咲きにくい。特に園芸品種は露地植えは咲かないことが多い。今年の若枝の先の方へ明年の花芽がつくられる。鉢植を求めたものは本年のびた1〜2節を残して上を切り去り、大きな鉢に肥土で植えかえ十分に日にあて灌水する。咲いていない枝の先2〜3節あるいは開花枝の先の花とその下の葉を切り落とした下の2節をさし穂として切りとり、鹿沼土等にさして半日陰におく。発根後は肥えた土に植えかえ十分日にあてて側芽を肥大させる。秋末はできるだけ長く霜にあてぬこと。
   (辰野朝日新聞・昭和56年7月25日掲載)

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