ホウレンソウ他の秋まき──初期生育時、アルカリ性の土を

ホウレンソウは高温乾燥では育ちにくいので、また初期生育に土が絶対にアルカリ性であることが必要の作物である。小さい時にアルカリ性でさえあれば、大きくなれば相当の酸性でも育つ。それを誤って多量に石灰を施すので、地中の窒素質の肥料を無効にし、さらに土を硬くし、中期以降の生育を悪くしてしまう。生えた時、幼根ののびる所がアルカリ性であればよい。
他に注意の必要なことは有機質肥料の多い土である。一発で生やし良く育てるには、まず種子を水に浸し、水が濁る2〜3日間、水をかえる。その後湿ったまま日陰に保存する。幼根が出たら倍量の消石灰か5倍量の草木灰をまぶしてからまきつける。覆土は2〜3センチ。最近のホウレンソウは早く育ち、早まきのものは越冬しにくいので1月までに収穫してしまう。春用のは10月10日ころまでにまく。遅まきほど越冬が容易。
暖地で秋まきする草花パンジー、ヒナギク、ヤグルマソウ、ナデシコ類などは当地では大急ぎでまかねばならない。まく所は深く耕さず表土5センチを耕し、まいた後は硬く踏みつけておく。晩秋以後移植したものは冬越ししない。鉢箱まきしておいて春植えるもよい。キンセンカの冬越しは当地ではちょっと困難。
宿根草のルプナス・オリエンタルポッピー、オダマキなどは当地では梅雨期直後にまかないと翌春開花しない。これからでは明春咲かないで来年の梅雨期に腐ってしまうからしっかり書きとめておいてほしい。
   (辰野朝日新聞・昭和56年9月5日掲載)

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