花の種子採り──良い株から採種

草花の種子は秋実るものが多い。美しい絵袋の図の様な花が咲いてくれれば良いのだが、どこで買っても良い種子が入っているとは限らない。がっかりしないためには今年の良い株から種子をとって見るも一興。
百日草・松葉ボタン・エゾギクは特に八重の花弁の多い株から熟した種子をとらねばならない。一重半八重株から種子をとると翌年はほとんど一重になってしまう。色々の色の良い八重の株に印をつけておいて、およそ花が枯れてから摘取って陰干しとし、良く乾いてからもんで軽いゴミや粃(しいな)等を風でとばして重い種子だけを保存する。
サルビア・バーベナは種子が熟して褐色になったものを花房毎に摘みとって陰干し後、前と同様に調整する。この2種類は特に若摘みの種子は翌年絶対に生えない。サルビアは赤味のなくなった苞の中をのぞいて見ると1〜4粒の種子が入っている。バーベナの熟した種子は包みが割れてこぼれやすい。買った種子の発芽の悪いのは若採の種子であることが多い。
ケイトウ、ハゲイトウも悪い株にはたくさん種子ができるが、翌年はさらに悪い品質になる。種子のあまりついていないような株から黒光りする様な熟した黒い種子をとる。赤味のある色の種子は明年は生えない。マリーゴールドだけは自分でとった種子より輸入の市販種子の方が絶対によい。自分で採った種子がより美しく咲いてくれれば楽しみは増す。
   (辰野朝日新聞・昭和56年9月12日掲載)

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