シャクヤクとボタンの移植の適期である。株分け移植期は8月下旬から10月いっぱいであって、その他の時期に植えかえると翌年に咲かなかったり、回復に2〜3年かかる。
近ごろのボタンの苗はシャクヤクの根に接いである。両方とも根の生長をはじめるのは当地では9月の中旬からであって、冬中おう盛な生長をする。従って秋の声を聞いたら、できるだけ早く改植したり、株分けをすることが必要である。太い根は欠けやすいので遠くから深く丁寧に掘ることが必要である。掘った根は乾かさぬようにぬれた布等で覆っておく。掘る前に葉や茎を半分切り取って、支柱にしばりつけておくのがよい。
シャクヤクは4〜6年に1回は株分けをする必要がある。ことしの太い茎が1〜2本つくように、それぞれの株に根がたくさんつくように、薄刃(は)の刃物で切り分ける。太い茎の基部には明年の芽が1〜3芽はできている。
植えつけは同じ場所なら掘り上げた土を離れた土と交換するか、少しでも離れた所に移す。土には堆肥・鶏糞(けいふん)・油粕(かす)等の腐ったものを多く混入する。化学肥料では燐(りん)酸分の多い肥料と混和する。土が乾いていたら給水して湿した土で植えつける。移植後数日は灌水(かんすい)しない。植えつけの深さはシャクヤクは芽先が地表下5センチくらい。ボタン苗でシャクヤク砧の場合は接ぎ目が10センチ以下の深植えとし、接ぎ穂の基部から自根を出させると永年改植の必要はない。苗の購入は秋が望ましい。
(辰野朝日新聞・昭和56年9月19日掲載)
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