春から目を楽しませてくれた庭の草木も秋映を残して冬を迎えることになる。花や実が終ったからとて、短かく切り捨てることは良くない。
ダリアとカンナは霜で地上部が霜にやられる迄茎部が風等で動かされぬ様に支柱にしばりつけておき、根元が凍らぬうちに掘りあげる。グラジオラスは葉が黄変したら掘り取り良く陰干しをする。球の基部に小球が沢山ついているので之をこぼさずに明年作る。木子は開花はおくれるが立派に咲くので、気に入った株の木子は大切にする。
ハナショウブは葉が次第に黄変してくるが葉を切ったり、葉の中程で束ねたくなるが、此の葉は明春の発芽直前迄つけておくのが必要で、今は葉先のみを軽く束ねておく。
花木の類は晩夏より庭師が強く切りこむがこれでは明年良い花が咲かない。春咲く落葉花木は落葉してから晩冬迄の間に整枝する。現在は夏から明年の花芽の完成する時であり、明年良く開花結実させるための肥料は春先ではなく、葉の落ちないうちに施す。果樹用の秋の配合肥料は多年生の草花やツツジその他にも大変に成績がよい。枝下全部の地表にまいておくだけでも良いが、2〜3センチの深さの土と混和しておく方が良い。アジサイは今年の若枝の先の方の頂芽と腋芽に蕾ができるので先を切ってはならない。
戸外で越冬できない植木や花は霜にあたらぬうちに鉢揚げしておく。
(辰野朝日新聞・昭和56年10月3日掲載)
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