越冬作業[1]──秋掘りの球根

春植えて秋掘る球根は霜季低温が訪れると早めに掘りあげて凍らぬように貯蔵する。
一番寒地で貯蔵がむずかしいのはカンナである。地際まで凍らぬうちに地上部を切り去って、地下茎を傷めぬように丁寧に掘り取る。長くのびた地下茎の基部から折れやすく、ちょっとの傷でも冬の間に腐ってくる。細かい根は切ってよい。好天時によく乾かした後はわずか湿った土で容器内につめ5度以上で貯蔵する。
ダリアも地表で茎を切り球を掘りあげる。根先は切れても首の所は折ったり曲げぬことに注意。大輪やカクタス咲きは長い球根となる。昼間はよく日なたで乾かし土を除き乾いたまま凍らせぬように乾いた土やモミがら等で容器につめて冬越しさせる。
グラジオラスは茎の下に1球ずつ大きい球根ができ、その下縁に褐色の小球がたくさんついている。これも丁寧に拾っておく。深い所の掘り残し小球は冬越しすることあり。茎をわずかにつけた球は乾かした後、下の古球を捨て凍らぬ所で乾いたまま貯蔵する。小球を春植えると大球よりおくれて秋末までには開花し、切り花によい。
アマリリスを地植えしている人は少ないだろうが花の終わったのを地植えしておくと大球になる。霜にあてぬうちに下の細根をつけて掘りとる。乾かして凍らぬ所に保存してもよいが、鉢植えで屋内や加温室で長く葉を枯らさぬようにしておくとより良い花が咲く。葉が枯れたら鉢毎乾燥しておくがよい。
   (辰野朝日新聞・昭和56年10月31日掲載)

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