越冬作業[3]──腐葉土の作り方

花作りに絶対に必要な腐葉土の材料は今たくさんある。腐葉土の質と量が花作りの成績を決定的にする。特に花を素直に生育させ、開花させるためには絶対的に必要で、売品は質が一定でないから、自分で作るに限る。秋の落葉焼は秋の文学的風景だが、日本の国の土を肥やすためにはまったくもったいない話である。
腐葉土の材料として何の落葉でもよいわけだが、松葉とイチョウの葉は具合が悪い。交ざっていて後で困るものは杉葉とクリのイガそして小枝類である。最も良い材料はクリやクヌギ、コナラ、ケヤキ、竹やヨシの葉であるが、最もよいカシやシイの葉は当地では入手できない。カキ、カエデその他の広葉樹は何でもよい。いろいろの葉が交ざっていてよい。
山で谷筋に吹きたまっているのを集めてくれば一番簡単である。庭に落ちた葉は全部集めてとっておく。乾いた葉はかさばっていて、木框等を作って踏みこんでも、しっかり踏みこめない。水をわずかうって湿すと踏みこみやすい。しかし水分が多すぎると腐りにくい。ダンボール箱につめておくと箱が腐って困るし、密閉すると湿りすぎの場合は腐らぬし、といって通気が良すぎると乾いて腐らぬし、なかなか具合よく腐ってくれない。重しをする。
そこで少量の場合は肥料のビニール袋に一寸湿らせたものを押しこめるだけおしこみ、ひもで口を閉じておく。早く腐らせるにはコヌカ、油粕、鶏糞等を一袋に一握り交ぜておく。後の作業は明春に。
   (辰野朝日新聞・昭和56年11月14日掲載)

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