冬の花物の管理[1]シクラメン──蕾の多いものを

シクラメンの鉢物がではじめた。良くできた鉢は取り扱いがよければ春まで咲きつづける。長野県のシクラメンを全国一にするには私も長年を費したが、近年は丈夫で良いものが県内にもでてきた。
求める時は花の下に蕾(つぼみ)がたくさんあるのを確かめる。高温で育てたにぎやかに咲き、葉が高くのびている鉢は低温にあわせると花も小さくなり、いたみやすい。また、株の中心をのぞいて見て、小さな蕾や葉のたくさんあるものほど長く楽しめる鉢である。その部分の蕾が全くないものは10月上中旬に2〜3度の低温にあわせたもので、大きな鉢に植えかえても今できている蕾が咲き終われば今冬の花は終わりである。葉の色のあせているものは肥料切れか。
今求めた鉢の取り扱いは第一に窓越しの日を6時間以上あて、第2に夜間5度以下の低温にできるだけあわせぬことである。その次に水を与えすぎないように、乾かし過ぎぬことである。培養土がジクジクといつも湿っているのは最悪。チョビチョビ灌水(かんすい)も不可。水をやる時は鉢底から水が流れだすまで十分に。午前中にして、夕刻は葉の基部が乾いているように。週に1回は好天時に葉の上から水をかけて葉面を洗う。寒風にさらさぬこと。
鉢の小さすぎるものは一回り大きな鉢に寒くならぬうちに鉢換えする。古い土は落とさず周囲に新土をつめる。鉢内に根が張りすぎているといくら施肥しても花は小さくなり、できた幼い蕾も枯れてしまう。
   (辰野朝日新聞・昭和56年11月28日掲載)

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