冬の花物の管理[2]──日光によくあてる

戸外では寒風が吹き荒れる季節となり、色々の美しい花の鉢物が出回る時でもあるが、一寸した事で一晩で駄目にしてしまうことが多い。
一番大切なことは寒風にじかにあてず、窓越しの日光を十分に浴びさせることである。冬は日照時間が短いので特にわずかの日光でもしっかり利用する。戸外に出し忘れぬよう。
夜間低温にしすぎぬこと。特にポインセチアは低温に弱い。シクラメンやプリムラ類は低温に慣らせば冬中楽しませてくれる。シャコバサボテンも今年はまだ出回っているが、早く咲いたものより花持ちがよい。蕾(つぼみ)のあるものは特に日照不足と低温にあわせないことが必要である。シャコバは花が終わったら灌水(かんすい)をやめ、凍らさぬように、乾いてしおれてもよい。1週に1回わずか灌水する程度とする。
どんな高温の必要な植物でも冬期間灌水を減らすことによって、植物体内の水分濃度が高まり、いくらかは耐寒力がつく。春咲きの洋蘭のカトレアやシンビジュームは10月からほとんど灌水をしないで日光によくあてて凍らさなければ翌春立派に咲く。また、冬の間の灌水用の水は冷たくない水を使う。せっかく暖かい所においた鉢物も気温より低い水で灌水すると、土はたちまち冷えてしまう。これだけでもシクラメンの後の花は小さくなってしまう。クンシランはこれからは夜間も高温ほど早く咲く。寒地では早く低温になるので花芽も早くでき、暮れに開花させ得る。
   (辰野朝日新聞・昭和56年12月5日掲載)

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