冬の寒さで枯れはしないが、枝枯れや花芽が凍って悲しむことがある。
当地でツゲといっている小さな常緑の小葉の庭木がある。本名はイヌツゲである。本物のツゲは石灰質を好み、葉は向いあって対生で、日の当たる所では葉が褐色をおび、耐寒性がちょっと弱い。イヌツゲは小さな緑葉も美しく整枝が容易で当地では昔からよく植えられているが、空中湿度の高い所が好きであるので、当地の冬の凍った寒風には弱い。冬の風当たりの弱い庭の木は安全に育っているが、毎年のように葉が枯れたり、枝も枯れこみ、不格好な木になっているのを毎春見かける。毎年枯れこむ所は冬の風の吹きこまない所に改植を必要とする。上の枝の枯れこむ所はその部分へ枝をのばすことはあきらめるか春になって植えかえる。毎年枯れこむ所は今からでも防寒のためにわらなどで覆う。しっかり包みこむことは不可。今秋おそく植えた木は幹をしっかりわらで包む。
アジサイは枝の上部の太い芽に花を持っているが、寒い冬には凍死する。殊に最近鉢植えで初夏に売られている西洋アジサイは弱い。根元から枝を巻きあげ枝先までをわらで厚く包みこむ。ビニールやポリでしっかり巻きこむのはあまり良くない。
シュロは当地では安全に越冬する植物ではない。ツバキ・ジンチョウゲは風の吹きつける所は軽くわら囲いする。キンモクセイ・ギンモクセイも当地での越冬は困難、特にわら囲いが必要である。
(辰野朝日新聞・昭和56年12月26日掲載)
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