厳寒の鉢物──4要素に気をつけて

厳寒に入ってほとんど毎日、愛する花を凍らせた悲しい相談を持ちこまれます。
凍らせぬこと、暖め過ぎぬこと更に寒風にあわせぬことが3要素で、これに空気の乾燥する当地では室内暖房で更に空気が乾燥する害が加わります。乾いた冷たい空気にさらすと、葉面や硬い幹からも水を奪い去ってゆきます。特に花は軟らかいので、ごく短時間の間でも中の水分をとられてしまうので傷みやすいのです。
最近は建物の防寒構造と室内暖房の向上から容易にいろいろの植物が冬を飾っているようになりました。そこで始めの4要素に気をつければ冬を美しく楽しめることになります。
具体的には窓越しに十分に日にあて、空気の乾燥防止のために葉面に水をかけてやることが必要です。シクラメンは週に1回は花をぬらさぬように葉面に水をかけ、葉面のほこりをも洗い流します。浅い器に水を入れて近くに置くか台をしてその上にのせておきます。鉢底の水浸しはしない方がまし。
灌水(かんすい)を忘れてぐったりしおれたシクラメンは鉢を逆さにして花茎や葉をのばして新間紙で三重くらいにつつみ、鉢を深水にしばらくつけた後に湿った新聞紙のまま、しばらく放置します。しおれたまま水を与えると花首が曲がってしまいます。
古い花は早めに摘みとって株の負担を少くする。プリムラ類も古い花を摘みとることによって次の花が早い。観葉植物は土を過湿にしないように。葉水を忘れぬこと。
   (辰野朝日新聞・昭和57年1月23日掲載)

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