庭木の整枝[1]──太い枝切りは慎重に

樹木は地上部は根元が太く、上に行くに従って次第に分枝し細くなり、根もその逆で、自然木は幹枝と根の量はあまり変わらない。太い枝や幹を切ると人の手足を切られたと同様に根までも生理的にバランスがくずれていき、樹液や葉の同化養分の流動に大きな支障がある。また切り口からの腐りこみもあるので、太い所を切るには慎重にしなければいけない。
理想的には根元から上に行くに従って次第に自然に細くなるように仕立てたい。幹は元来は上の枝葉で樹皮を直射日光から守られているものであるから隣の木の枝葉でも幾分は直射日光から守りたい。太い枝を下の細い枝の直上でストンと切りやすいが、その切り口から残したい枝まで折れたり枯れこむので、2〜3年計画で残す枝の直径の3倍位上から切り、残した枝と下の直径が同じくらいになってから基部から切り去るのが安全である。例外はカキの木である。カキは太い所を切っても大丈夫である。大木は実の収穫が大変なので低く仕立て直したい。
カキの大木の仕立て直しは低い所に枝がある場合は簡単で下の枝を2〜3本残して上をバッサリ切る。残す一番上の枝の2〜30センチ上がよい。下枝や手軽く実を取れない高い所の枝は2〜3年計画で切り取っておく。太い所からは春から初夏にたくさんの枝がでてくる。7月末ごろたくさんでた枝のうち横向きに出た枝数本を残して特に上向きの強い枝はかきとる。残した枝は来年よく実る。
   (辰野朝日新聞・昭和57年2月20日掲載)

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