幹のできる庭木や果樹を根元から枝先まで自然に近く次第に細くなるように仕立てないと、急に細くなった所から強い発育枝がでやすい。特に幹や太い枝の上側に強い発育枝がでる癖がついて、その部分が瘤状になっている場合は年々強い枝を基部から切除しても更に強い枝がでてくる。そのような部分は瘤状の所をきれいに鋸で切り落とす。木は上に伸びやすいので特に上向きの強い枝は作らないように、側方に枝を広げていくように心掛ける。
実をならせる木の枝は側方に広げ木全体に日の差しこむように枝を配置し、下側に垂れた枝は良い実をつけないので除いておく。花だけを見る木の下枝は茂りすぎない程度にすかせるだけでよい。言い換えると下から上に次第に勢力を分散させ、枝の広がりの中までよく日が差しこむようにということになる。
ところが一般的には太い枝がたくさんあって、その先に少しずつ、またはかたまって小枝のある木を多くみかける。はしごをかけても太い枝ばかりで上へのぼるのも困難な木が多い。中懐の枝はなくなって細長い枝先にしか小枝がない木はその枝が枯れると、そこがすいてしまう。落葉樹は太い所でも日があたると芽を吹くが、針葉樹では枝数が多いと懐枝は全くできなくなるので、若い木のうちから枝数は少なくして、幹や太い枝にも日のあたるように枝の配置をしなければならない。針葉樹の外側だけを刈りこむ棒状の木は老木となるとどうにもならない。若いうちから枝数を減らすこと。
(辰野朝日新聞・昭和57年2月27日掲載)
|