今回は昨年のびた果樹や花木の枝の剪(せん)定についてのべよう。
大急ぎで剪定をしなければならないのはブドウである。のばす枝は昨年のびた枝の3分の1の所、その他は基部2〜3センチの所で節の中間で切る。おくれると切口から水がでて、樹勢がぐっと悪くなる。カエデ類も同様。
カキ、クリの枝先はそのままにしておくと小枝が茂るばかりであるから弱い枝は基部から切り、昨年の新梢の先はカキは4分の1、クリは3分の1を切りとる。ウメ、モモは蕾がはっきりしてくるから弱い枝は先から3分の2、強い枝は半分を切りとる。リンゴやナシは短花枝と中花枝に主力を実らせるので、花芽の多い所は間引き、発育枝はのばす所以外は切りとるか3分の1を残す。
一般の落葉花木はこみ入った枝を除くのみで、特に灌木性のものは枝先を切り詰めることはしない。花が散ってから深く切り戻しをする。ライラックは放任すると急速に高くなりやすい。枝先に丸い花芽を対生する。中枝は間引き、他は開花直後切り戻す。
変わった取り扱いは百日紅(サルスベリ)で、まだ剪定はしない。4月下旬に太い所で切り戻す。若木で強い新梢のあるものは細い枝は全部、強い枝は3分の1残して先を切る。思い切って切り戻さないと大きな花房の長期開花は望めない。ノウゼンカヅラも切り口から枯れこみやすいので、4月初めまでは剪定をしない。バラは小枝や古い枝は全部切る。
(辰野朝日新聞・昭和57年3月6日掲載)
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