種子播きと間引き──早目に間引かないと

花の種子も野菜の種子も生えないと困るというので必要数の5倍も10倍も播いてしまう。ウグイス菜等も間引いて食べるからよいと厚播きし勝であるが、生えたばかりの苗は人間の乳幼児と同様に物凄い肥料食いで、その上に根は急速に深くのびてゆく。厚播きすると余程肥料をやった積りでも、初期生育で速効性の肥料を吸いつくし、たちまちに栄養失調になり、それに数回も間引きをすればその度に残した苗の根をいためてしまう。だから始めから厚播きしないこと。生えたらすぐに密生した所はぞっくり抜いてしまい、大粒の種子の場合は5センチ以上、花の細かい種子でも3センチ間隔には早くに間引いてしまう。
廿日大根は生えたらすぐに5センチ以上に間引かないと、喰べられぬ筋大根ができてくる。草花の大型になる百日草・コスモス・マリーゴールド等は本葉2枚目迄に10センチ位とし、間引いた苗は移植してもよい。早目早目に間引かないと春野菜は特に早くダメになる。
   (辰野朝日新聞・昭和57年4月17日掲載)

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