植えつけと灌水──過度の水は不必要

播いたり植えるとやたらに灌水したがるが、土が湿っていればそれ程水はやらなくてよい。雨の降るような灌水法が最も望ましい。小さなジョロで少し位灌水しても表面が一寸湿るだけ、やる時には思い切って沢山与える。移植直後に灌水すると土を固める他に、気化熱で土を冷して活着を悪くし、移植で傷のできた根は切口がなおらず更に生育をおくらせる。移植の基準法は次の通り。
苗は数日前から乾かし気味にしておき、直前にたっぷり灌水して十分に水を吸わせておく。植える場所が乾きすぎていたら午前中にたっぷり灌水しておく。地温の最もあがった午後4時頃からが移植の適時間。移植後は灌水せず、必ず支柱を与え、苗が風等で動かぬようにする。トマト等は棚をつくっておいて、その支柱に添えて定植する。緑枝等で覆うと地温をあげず活着をさまたげる。木苗の根の乾いたのは数時間水につけて十分に水を吸わせてから植えつける。水植えは愚法。
   (辰野朝日新聞・昭和57年5月8日掲載)

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