苗の形と移植──深植えは生育不良に
色々の種子が生えて双葉と本葉がでてきた。地表から双葉の基部は土の中にある。苗を抜いて見ると下に細い根があり、根のない軸の上に双葉がついている。エンドウは双葉は種子の中にとまって居り、マツやヒノキは数枚の双葉がある。下の根は真直に深くのびて直根になるものと次第に分れて細根になるものとある。ダイコンやモモ、クルミは直根型である。本物の根と双葉の間を胚軸といい、この部分から後で根のでるものとでないものがある。 移植の時、たとえこの軸が徒長しているものでもその3分の1以上を深植えすると以後の生育不良を起こすことが多い。胚軸の短いエゾギクやマツバボタンは特に浅植えする。サルビアは根と胚軸の付根からも枝がでるので、特に浅植えが必要。胚軸から根のでやすいトマト、マリーゴールド、コスモス等も苗は浅植えするほど青枯病等にもかかりにくい。胚軸をよく観察しよう。 (辰野朝日新聞・昭和57年5月29日掲載)