いろいろの苗を植えた時、安定しないので深植えになりがちであるが、生えた時の胚軸と根の状態に従って浅植えする。苗は植えた後で灌水するより、移植の数時間前に十分灌水して苗に水を吸いこませておいて移植する。苗の土は自然に着いている土は落としたくないが、落ちる土を苗にくっつけておこうと湿った土と共に苗の根を握りかためる事は非常に根を痛めるのでやってはならない。
移植の際は定植の場所の土の中の水分を逃がさずにその土の水分のある所に根が触れるように植えつけるのが合理的である。この要領というかコツが活着と以後の生育のカギとなる。植え穴を予め掘っておくと土が乾いてしまう。また雨の降った後や雨の直前は土が冷えて新根の発生をおくらせ傷んだ根の切口がなおらず、もしそこに青枯病や萎凋病の菌があると夏までに必ず発病枯死してしまう。植え穴の片側はできるだけ垂直に掘ってこの土の壁にそって根を真直に垂らし、深鉢にならぬように掘りあげた土で埋める。
(辰野朝日新聞・昭和57年6月5日掲載)
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