秋の仕事──急ぐが無難

生まれて初めての異常の天候の夏を迎えると、秋仕事をどの様に計画実施してよいか迷ってしまう。すぐには秋晴れの天候は訪れそうもないし、さりとて夜の温度はそれ程にさがらぬのに、例年はまだ全く蕾を見せぬコルチカムの球根から蕾がのぞき出すのを見ると、秋仕事はすべて急いだ方が無難ということになる。夏咲く花がおくれて咲いていたのに、盆前からは逆にすべてが秋の生長開花に向かっている。従って結球白菜とか地大根は早く播くことが必要である。普通の漬大根は月内にまいて、早く間引けば大丈夫。こう涼しい秋はホウレンソウは育ちが良いので秋に食べる分だけまいて、冬春用は9月下旬に播くがよい。
秋播で春咲くパンジーとかデージー、そしてナデシコの類は大至急播く。シクラメンの今春楽しんだ株をこの冬咲かせたいならまず、鉢土を乾かしてから掘り、土を落して新培養土で植え、1週間程日陰においてからかん水を始める。プロはこの無駄苦労はしない。
   (辰野朝日新聞・昭和57年8月21日掲載)

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