秋肥と寒肥──秋のうちに肥料を

昔の本を見ると、寒肥をやって次の春夏の美しい花や実を楽しむとか、樹の回りに丸く溝を掘って肥料を埋める、と書いてあり、今もそれが一般的の知識技術とされている。しかし、いろいろの植物を扱って見ると、樹木や秋植えの植物には冬になって施しても、次の春夏への効果は少ない。落葉果樹の梅、ナシ、カキなど寒肥や春肥をやると夏になっても新梢をのばしていて、アブラムシなどの害虫や病気がつき、実には日が当たらず、翌年の花芽の形成も悪い。また、根は枝下から枝張りの外へものびているので、幹の近くに溝を掘って施肥しても、肥料を吸える細根はない。秋のまだ葉の青々しているうちに枝下全部へ肥料、ことに窒素やリン酸質の多い配合肥料や堆(たい)肥なども施しておくと、冬中に根がこれを吸って良い花が咲き、広い葉をつくり、枝は長くはのびずに早く生長を止め、果実には日が当たり、害虫や病気の夏以後の発生も少なく、次年の花芽も早くできる。秋植え球根も冬中にのびた根で明年の花を咲かせるので、これも秋肥が大切。もちろん秋肥も地中に埋めてやれば最高だが、拙速主義で地表にふりまく。寒肥とか輪肥はやめて秋肥に切りかえよう。
   (辰野朝日新聞・昭和57年10月9日掲載)

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