植物の根[2]──無機質化学肥料の多量施肥は根を傷める場合も

前回は根の長く伸びる例を述べたが、佐久のチョウセンニンジンの畑は、昔はサクラやクルミとケヤキから100メートルは離して植え付けたものである。庭や畑の土の中にはいろいろの根が伸びてくるので肥料を吸われることと、その古い根毛がそこで肥料になってくれる+と−の作用がある。従って植えた木や苗のために施した肥料は周りの植物にも吸われるのだから、その分も加えて肥料をやらなければならない。殊にやせている畑や庭では余程施肥を多くしなければならないのは当然である。その場合に無機質の化学肥料をたくさんやることは、その土の中に有機質の肥料のたくさんある場合を除き、土の中の肥料が濃すぎて、吸われもせず、かえって根が傷む場合もある。どんな場合でも無機質の化学肥料の多量施肥は絶対にやってはならない事である。
暖地では草花の根は冬も伸びるが、当地では凍ってしまうので、年内に良く根を伸ばすためには庭木も果樹も春の植え替えよりも年内に植え替え、しっかり支柱を与えて敷物をして凍土防止と土の凍結防止をはかる。草花やクサイチゴの改植は大至急に。これも軽く踏みつけた後、表土1センチを改めて浅耕して、凍みと乾燥防止をはかる。
   (辰野朝日新聞・昭和57年10月23日掲載)

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