シュウカイドウ──耐寒性を持った花 |
まず、シュウカイドウの美点を知っておいていただきたい。その東洋的美からの観賞植物として一般には知られている。日の余りあたらない所で育ち、広い葉と夏秋のかれんな花を楽しむことができ、一般的には球根というが、球茎で越冬する。ベゴニアの仲間中唯一の耐寒性をもっている。日陰で美しい花を咲かせる耐寒性を持っているものは余りない。この球根の多量生産を試み、果樹園の枝下で栽培して見たところ、この夏は非常に乾燥したが、和梨洋梨共に夏の旱害を全く受けないどころか、非常に優秀な実を収穫できた。その広い葉で地表を覆って地表からの地中水分を適度に空中散逸をさせず、自らの生長を守ると共にその上の木までうるおいを与えるという効用は、現在の地表緑化と地下水資源の維持ということで、同等の効果のあるギボウシと共に人生にとって大変な有効な植物であることがわかった。さらに観察すると、この植物は秋に枝の基部や先端に小さな珠芽をつけてそれで繁殖するが、一度植えつけると、その珠芽で周囲に繁殖し、その葉でまた地表を覆って土壌水分を放散させず、自らもその水分で生長し、遂に日なたまで進出してゆく。またその広い葉で地表を覆って一般の雑草を抑え、除草作業を軽減させる。近年の大建築物による日陰地は多いが、この様な所で美化、土壌水分の保持、さらに除草などの管理費も軽減できるのである。 |