シュウカイドウの栽培と品種改良──ベゴニアとの交配で

私の球根ベゴニアの品種改良の1作業がシュウカイドウである。欧米人が育成した球根ベゴニアを少しでも寒さに強い球根ベゴニアにできないかということ、東洋産のシュウカイドウを東洋人の手によって花を美しくしたい。花を大きくする、花の色を今までの淡い桃色や白のほかに赤とか黄色、また一重咲きから八重咲きにできるかどうか。このいくつかの目的をもって球根ベゴニアとの交配をくりかえした。しかし、その目的に対してははかばかしい成果はあがらなかった。之は遺伝的に困難な種間雑種の育成であり、また、シュウカイドウの育苗困難性との闘争でもあった。しかしわずかの変異を作り出したのみであるが、それは園芸とか遺伝学とかの方面からは、その価値を欧米の専門家に認められたことは第1回に述べた。花の色はまだいくらか桃色が濃くなっただけ、花は少し大きくなり、花弁の縁が歯牙状になった。まれに5〜6弁花の咲く個体がある。大葉とか小葉株も選抜できた。葉の裏の濃い紫蘇(しそ)色の裏紅種はこの植物の希少価値を非常に高めた。また、早咲き系もでき、温室で2月発芽させると6月から咲く。冴えた純白花で鮮緑色の光沢ある清雅な品種は私の自慢の品種であるが、残念ながら球根は簡単に凍死してしまう。
   (辰野朝日新聞・昭和57年11月27日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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