シュウカイドウの栽培──半日陰の所に植える

夏、秋の候に半日陰の所にソソとして大きな扁心形の葉の上に桃色の花の房を垂れ、静かに咲いているのは古人にとっても今の人にとっても誠に美しい。陽光いっぱいの色とりどりの花壇と変わった趣を和風洋風の庭園の半日陰をかざってくれる。私の改良種によって早咲きも大輪種も葉も美しい品種もできて美しさをさらに増した。
植付は早春。茎の根元が肥大してできた、正しくは球茎である球根か、秋末に枝や葉わきにできた小さい珠芽を植えつける。大きい球根は5センチ以上、珠芽は3センチ位の深さで半日陰の所へともかく植えこむ。夏のみ少し日のあたる北側の軒下などは最も良い。大きな庭石や植木の北側でもよい。低いツツジなどのかん木の枝先よりは50センチは離した方がよい。そのような所に数カ所へ植えて見る。ここが気に入れば毎年球や珠芽が生き残って春には発芽してくる。冬の間雪や氷の下になる日陰でも越冬し、かえって雪や氷に覆われぬ年には、地表に近い球根は凍死するが、珠芽の方は越冬する。2年目からはできれば葉の茂る5月下旬に間引きをしてやる。放任栽培では大きな球根にはならない。気に入った所ならば何年でも続けて美しく手間をかけずに咲いてくれる。
   (辰野朝日新聞・昭和57年12月4日掲載)
  写真撮影:青木繁伸氏(群馬県前橋市)

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