種子まきと苗植え[1]──花の播種は早すぎず

春めいてきた。暖かい日には何でも播(ま)いたり植えたくなってくる。しかし、早すぎるものも急がねばならぬものもあり、早くまいたら発芽までに腐ってしまうものもある。肝心の心得は?
まず早くまかねばならぬものの第一はエンドウとシソで、花には大急ぎというものはまだない。エンドウ類は早い程よく、深さ7センチ以上の深さにまく。早く深めにまく程元気のよい芽が地中で枝分かれして何本か発芽してくる。また、どんなエンドウでも早くまく程早く咲き実ってくる。
小梅を早く赤く漬けるためのシソは昨年のこぼれ種子から発芽してくるものとか今まいた種子から育ったものでないと間に合わない。畑にはただまきちらしておき、後で間引く。
ジャガイモは早く植える程収量が多い。これから1週間おくれごとに10%収量がおちるものと見てよい。堆(たい)肥等の肥料は種子いもの上にかけ沢山に一気に覆土する。土の中の小さい葉の腋芽の先がイモになるので、芽が4月末に地表に出る頃はもうイモ芽はできているのだから早く植える程に収量も増す理屈通りに大きなイモがとれる。種子イモは小さく切って株間を狭く、あぜ幅を広くする程に大イモが沢山とれ小イモが少くなる。
   (辰野日報・昭和58年3月26日掲載)

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