緑化について──園芸は自然を知る第一歩

18日月曜日NHKラジオ早起鳥にお座敷がかかった。旧知の名アナ秋山司郎氏と緑化に関して対談せよとのこと。小生、宵働きの朝寝坊で閉口。16日に電話でのインタビューとのことでひと安心。今回はこの件でお茶を濁すこととする。
地表を緑で覆うことの重要性は皆様ご存知ながら、さてとなると桜でも何でも植えたらよいと考えている人が大部分。緑化で重要なことは活着して良く生育すること。庭先の花壇に小さな穴を掘って苗をおしこみ、水をザブザブとかけた花が良く育たぬ様に、肥料もない山や造成地に全くの植穴を掘っただけで育つはずはない。少なくも、新根が2〜3年はのびれるくらいの大きな植穴を掘って施肥して植えることが必要。花壇でも1年に1回は深く耕して深く施肥することが良く育つ条件である。自然の根がどのくらい広くのびるかを観察して、根ののび切るような植えかたが緑化植栽の必要条件である。
緑化のほかの重要な目標は地表の安定と地下水の保持にある。100年後もなお大雨等で土崩れのない様な、大雨をも地中にたくわえる緑化が望ましい。それには大木や灌木そして下草等のそろっている天然林を手本にすればよい。残り少ない日本の天然林を大切に保存し、学びとれば、日本の真の緑化は成功するだろう。園芸はだれでも自然を知る第一歩である。
   (辰野日報・昭和58年4月16日掲載)

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