ミョウガの手入れ──株を半分掘る

春先の芽茗荷(メミョウガ)と夏秋の茗荷(ミョウガ)は味覚を楽しませてくれるもの。あちこちの庭に群を成しよだれの垂れるミョウガが芽を出している。柿の木の下に群生しているのでは夏秋のミョウガの収穫はほんのわずかで、この辺の人はミョウガは余りとれないものとされているが、実は手入れによって一群で食べ切れぬ程出るものなんですがね。さてその手は?
今のうちに思い切って株の半分をすっかり掘ってしまうこと。夏のミョウガの花は株の周囲の太い茎の下から横に枝がのびてそれが上に向かうとミョウガタケになり、そのままのびると来年の元気の良いメミョウガと夏のミョウガタケの基になる。大きな株だったら、株の周囲の太い芽のある所を20センチ幅位残して、株の内側をすっかり掘り取って根や地下茎をすっかり掘り抜きその穴の中へ堆(たい)肥やゴミ等をたくさん埋めこんでおく。そうするとこの穴の中へ今夏秋は明年のための地下茎がのびてくるし、掘り残した株の茎からはミョウガタケが今年からたくさんに出てくる。今から芽のついている根を植えても今年はミョウガタケは出ない。掘り捨てるには少しずつスコップで切るように掘っては古い根や地下茎を拾いだしていけば楽で鍬の柄を折らずに、それ程骨も折らずに今秋がお楽しみ。掘った根は乾かして焼却する。
   (辰野日報・昭和58年6月4日掲載)

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