挿し木の季節である。草物も木物も挿し木をして発根しやすい温度になってきたが、例年より2週間ほど遅れている。発根に必要な温度としては、今まで夜温が不足していた。高温期ほど発根のよいものは、キョウチクトウやアジサイ。鉢物ではクリスマスに飾るポインセチアなどで、これらはコップの水に挿して直射日光や風に当てぬような高温の所におく。簡単に発根してくる。切り口や下部の皮に根がポツポツと出始めたら砂や鹿沼土などに移す。
挿し穂は今年のびた新枝の葉がやっと成熟しているため、新枝だけ挿してもよいが、去年の枝をつけて挿すと早く大きい苗となる。ツツジやツバキ、ジンチョウゲなどは3年分以上の大枝を挿してもよい。
挿し木をする時に気をつけなければならないのは切り口を鋭い刃物で平らに切り直す事と、挿す時にその切り口を傷めないよう挿し床に穴をあけて挿すこと。その切り口が下の土に密着して水を吸いやすいようにすること。挿し穂の葉の大きいものは葉を半分以上切り落とすこと。葉が小さいものも葉を半分切り落とす。下から吸い上げる水に限度があるので、風に挿し床をさらさないこと。暖地より8月の高温乾燥と秋の低温が早くくるため、できるだけ早く発根させる様に、挿し木の管理はていねいにする必要がある。
(辰野日報・昭和58年7月9日掲載)
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