挿し穂[2]──高湿なら日光は強く

挿し穂は発根するまで動かさぬこと。発根したかと抜いて見るなどもってのほか。発根するか根の原基が完成すれば葉が元気よくなったり生長点が活気づいてのびてもくる。それ前に挿し穂を動かすと床土と挿し穂の下端の接触がこわれて一時的以上に根の生長をさまたげることになる。
昔は挿し木はすべて半日陰の所へ置いたが、空中湿度が高ければ日光は強い方がよいという事が常識になってきた。スプリンクラーやミスト機を使っての多量の挿し木育苗が行われるようになった。しかし、この場合でも密閉されて高温になると苗は極短時間で蒸れ枯れる。小鉢を使ってポリ袋などをかける密閉挿しをする場合は特に真昼時の直射日光と高温には絶対にあわせぬこと。
シャボテンや多肉植物の挿し木はいたって簡単で、枝や幹をスパッと切って、切り口を数日日陰干しとした後で、乾いた素焼き鉢などに立てておく。根が出始めてから植えつけたり、灌水をはじめる。
大きくなりすぎたものなどは秋に少し生長の適温のある今のうちに挿し木をしておきたい。観葉植物の大きくなりすぎたものも越冬用の苗の挿し木作りをしておこう。
   (辰野日報・昭和58年7月23日掲載)

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