肥料の種類と効き方[3]──土壌の微生物

土の中には実に多種類の生物が生活している。大きなものはミミズやムカデそして昆虫のセミやカブトムシ等の幼虫等で中位のものまでは目で見えるが、小さいものは顕微鏡を使わなければ見えない。山の落葉のつもっている所の土の中にはこうした土壌微生物が何十万匹もいる。ごみ捨て場等の土の中には1立方メートルに50万も100万もの土壌微生物がいていろいろな腐ったものを食べたり、腐らせたり、お互いに食べあったり、その糞をまた食糧にしたり、人の与えた肥料のうちじかに植物の根が吸うことのできない成分を植物が吸える様にしてくれるのである。
土壌微生物の種類が多く活動が盛んな程、そこに植えられたり、生えたりした植物は元気に育つのである。化学肥料をいくらたくさん施しても植物の生育はよくならないし、多すぎたり、片寄った施肥をするとなお植物の生育は悪くなる。鉢物や庭や畑に堆肥や腐葉土等をたくさん与えよと言われるのはこの重大な理由があるのである。そしてそのたくさん与えた堆肥や役目を終わって枯れた植物の根を食物にして土を肥やしてくれる土壌微生物に必要なのは空気である。土を深く耕せというのは土の中へ深くまで空気が通りやすくするのと深く肥料分を施すことによって土壌微生物のすべてがよく繁殖し、次にはそこに育っている植物の生育がよくなるのである。
   (辰野日報・昭和58年8月20日掲載)

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