土の中の空気の効き目──ざん壕法

土の中の空気の効き目の例を一つあげておこう。果樹園に1メートル位の深さにざん壕を掘って、その中にすぐには腐らぬ様な木の枝などを含む粗大有機質やリン酸肥料を施し、翌年その外側を同様に掘って見ると新しい根は昨年のざん壕を通り越して、これから掘る所までのびこんで来ている。普通では根がのびて行けない心土が隣を1年前に掘って空気を入れたために赤土やれき層の色が変わって根がのびることができる状態になっている。
深く長いざん壕を掘る深耕法がとれない場合は直径1メートル以上の深い、いわゆるタコ壷を掘り、できれば掘りっぱなしで半年か1年の間その中に雑草やゴミ等をほうりこんでから埋める。これを3、4メートルごとに毎年場所を替えてやると非常に深耕効果がある。これは庭でも畑でも同じで、畑の場合に昔、箕輪町の長岡では第1年にゴボウ、2年目にナガイモ、3年目にニンジン、4年目にトウモロコシにダイズを作って見事な根菜作りと完全な輪作方法をとって、県内の関係者の間では有名であった。このグループのナガイモ作りは非常に合理的で優秀なものであった。その方法は明春にでもお伝えしたい。
   (辰野日報・昭和58年9月3日掲載)

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