土を見直そう──微生物と根が微妙に活動

土を本当によく知っていることが、草木を栽培する大切な基礎であることはわかっていても、いざとなると土を知らなすぎる。実のところは私も長い間土と取り組んでいるが、極めて初歩的な事しか知らない。土とは非常にわかっていない部分が多過ぎる。土の中の放射性微生物の研究が盛んに行われるようになって、ようやく50年。その研究から今の医薬の中の抗生物質がぞくぞくと発見されている。
何となく草木を植えている土の中で、土の素材と土壌微生物と植えられた植物の根が、水分や空気温度の変化によって、微妙に活動しているのであって、その状態によって植えられた植物はよくも育ち、また全く育たぬこともある。今まではおよその肥料や土のことを書いてきたが、これからは鉢植えなどに使う土の材料を書いておこう。
田土 当地方の田土は相当に粘質に思われがちであるが、実は砂気が非常に多い。粘土質の強い田土の乾燥した塊は、長く培養土の中でもくずれない。普通肥料気は少ない。田土中のヒエなど雑草の種子は、長年はえてくる。
   (辰野日報・昭和58年9月10日掲載)

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