畑土 畑土、庭の土は極端にやせた土や極端に肥えた土もある。水で運ばれた土砂が原料のものと、火山灰を原料としたものとでは基礎的に異ってくる。雑草がよく生えるとか、作物がよく育ち、また、ミミズが沢山いるような土は要するによい土である。火山灰土の赤土を主とする畑土は、余程有機質の肥料をたくさん与えないとよい土にならない。それも1年に一度や2度程度、たい肥などを混ぜてもだめだ。赤土気味の畑土を園芸に使うには、腐葉土やたい肥を思い切って多く混ぜる。山川から水で運ばれたこの地方の畑土は砂粒の方が多く、広い平野地方の粘土質の畑土と異り特に砂を配合する必要はない。
赤土 当地方の赤土は御獄山や周辺火山の火山灰土である。地表に露出して風化したものは、そのまま培養土として使える。まだ掘り起こした事のない風化しない赤土は、1回乾燥してから使うが、そのまま多量に培養土とした場合は根の発育は悪い。掘り出して雨に当てないで乾したり、軽く加熱した心土の赤土は、全ての培養土に1〜2割混入すると、非常によい微量要素的の効果を挙げる事ができる。また、昔の古い赤土の壁土はワラを多量に練り込んであり、これを1、2カ月さらした後に培養土として使うと全ての植物の育ちがよく、さらにこれに白壁として石灰が塗られているものは申し分のない培養土である。雨に当てないように保存することが大切。
園芸上、赤玉土として扱われている塊状粒状の赤土は関東産である。東京西部の赤土が全て赤玉土になるかというとそうでない。東京都内の園芸の友人は、冬に庭を深く掘って心土を掘り出し、寒ざらしをして、3月、粒状のところだけをモウモウとした土煙をたてながらふるい分けていた。よい赤玉土は鉢内で1〜3年間その姿がくずれず、土粒間の空気のよく通る隙間を保ってくれる。当地方の赤土からはなかなかよい赤玉土は作れない。余程よい赤玉土が作れたと思っても半年も経てば崩れてしまっている。
(辰野日報・昭和58年9月17日掲載)
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