一口に砂といってもいろいろある──王城山の砂は貴重品

園芸上で使用する砂の種類は大変に多い。海砂、川砂、山砂に区別されるが、海砂は角がとれて塩分を含み培養土には不向きである。川砂も長期、大川で流れて角のとれたものより肌の粗い、もむと土気がでる様な砂が幾分原石によって肥料気も水を含む力もあって使用効果が高い。当地の天竜川や小横川川の砂は山砂に近い川砂であり、コンクリート用にはよく洗いなおさねばならない。もっと上の谷川の砂は、殊に王城山の谷の砂は2、3年後には土になってしまうような山砂で、植物の種類によっては貴重品である。
近頃はコンクリート、或はブロック用に色々な種類の砕石があって大きさ別にふるい分けられているので便利である。栽培用でなくて、鉢物の地表や装飾用の石英の砂もひろく使われている。
自然の砂は火山の噴出物が地表或は地中深くに堆積してできた鹿沼土、桐生砂、鹿児島のシラス、日向砂と、地表にもある富士砂、浅間砂の系統と、岩石、特に花崗岩の風化してできた京都の白川砂がある。花崗岩の風化してできた砂は全国方々にあり、長石の結晶を含み徐々にカリ分を溶かし出して、山草や東洋蘭等を栽培するには適している。当地の赤土層にはさまれているミソ土は構造は鹿沼土に大変近いが酸性が長期につづくので色々な植物の栽培特に挿し木には全く不適当である。
   (辰野日報・昭和58年9月24日掲載)

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