火山性の砂──鹿沼土は1年で交換

火山性の砂で一番多く使われているのは鹿沼土で、栃木県の鹿沼地方の地中に埋もれている。火山性のうちで最も軟らかく、サツキほかいろいろの植物万能の粒状土で、挿し木には非常に便利である。一つの欠点は水分を含むと少々軟らかくなりつぶれやすい。栽培が1年以上つづくと酸性が強くなり、その部分の細い根は腐っていき、更にその部分が一度乾くとなかなか湿らない。買い求めたサツキやいろいろの挿苗や鉢物に鹿沼土が使ってあったら1年以内に必ず水の中で洗い落として新しい材料で植えかえる。サツキのせっかく見事に育った鉢が葉の緑が黄色くなるのは酸性でリン酸欠亡性になったり、根腐れをおこしかけているので、大きい鉢でも2年に1回は必ず鹿沼土を洗い落とすことが必要で、それを励行しない私の所のシャクナゲはいつ誰が来ても枯れかけの惨状を見ていただける。根の古い鹿沼土を除去するには水に浸けておいて、尖った箸等でつつきくずしていく。細根は切れてもかまわない。植えつけの時に根の間に十分に新しい培養土を隙間のないようにしっかり詰める。
鹿沼土の表面の微粉は洗い流してから使うことも挿し木活着の条件となる。また古い鹿沼土は畑にでも捨て、鉢物に再使用しない。
   (辰野日報・昭和58年10月?日掲載)

あなただけの大切な本を作ってみませんか―中央印刷がお手伝いいたします

箔を使った「風林火山」の扇子をつくりました。ご覧下さい。

園芸事はじめ/信州でガーデニングを楽しむためのエッセイ集