桐生砂──保水力が良く盆栽に/日向砂──東洋蘭には不可欠

桐生砂 鹿沼土の隣で産出する。鹿沼土よりずっと硬く、ちょっと押してもつぶれず、多少の砂れきが交じっている。保水力も良く、山草やツツジ、盆栽に非常に使いやすく何年も障害なく又ふるい洗いも容易である。挿し木用と培養土用にちょっと使うとやめられない。桐生砂も挿し木用には一度水をたっぷりかけて使うのが無難。鹿沼土と共に購入したら一度よく乾かしておくと長年使える。大小の粒が交ざっているから用途に応じてふるい分けて使う。
日向砂 鹿児島県の桜島からの噴出物はシラスといって完全な軽石の粒状物。厚い層となっており、保水力は良いが肥料の吸着力が悪く、シラス地帯は作物や樹木の生育が悪い。大雨で流れ出すため被害が多く、この軽石砂の園芸用途は少ない。シャボテンを植えるには良いが、植えかえの時は鉢を壊さねばならないし、追肥や施肥を要する。日向砂は霧島火山群の噴出した火山れきで、宮崎県の都城地方にあり、所によって硬軟があるが、鹿沼土とシラスの軽石砂の中間の性質を持っている。粒の大きさを選別して売られているので、鹿沼や桐生のようにふるい分ける必要はない。東洋蘭の栽培には欠かせない。遠い産地なので値段はちょっと高くつく。一度使ったのを軽く焼いてからまった根を灰にすると再使用ができる。浅間砂の中にも同質の軽石砂があるが、これは丁寧に表面の微粒を洗い落とすことが必要。
   (辰野日報・昭和58年10月15日掲載)

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