耐寒力[1]──限界最低温度は東京等標準

土の事を書いていたら初冬になってしまった。寒さ、越冬、耐寒性は園芸人のベテランでも悲しい思いをする事がある。失敗をしない様にするには年季や本を読んだくらいではダメ。植物にはそれぞれ低温に対する抵抗力があるが、それより高い温度でも低温死することもある。今まで知られている限界最低温度は東京等を標準としての温度で、辰野の様な所では参考にはならない。臨調の土光さんが辰野でも、補助金や他力によらないで自ら解決前進せよと話してくださった。園芸もその通り、冬越しには暖かい所から急に寒い所に行けば人間でも風邪をひき肺炎になって死ぬ。
植物もその通り。シクラメンを冬中咲かせ得る人が当地でもやっと多くなった。暖地で高温で育てたシクラメンを今買っても、2度3度の低温で参ってしまう。昼間暖かく保ちすぎるのも弱くする原因の一つ。でも好天であるからと言って日向の戸外で寒風にさらすもペット虐待。元来シクラメンは中温植物の代表。暑すぎず育てて、寒すぎずに観賞する植物の代表です。2度や3度の毎夜の寒さに耐えさせるには2月や3月はかかり、急にはできない。10月11月は急に夜冷すと出来かけの小さい蕾(つぼみ)が凍死して、以後努力しても一時期花が中断します。
   (辰野日報・昭和58年11月12日掲載)

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