耐寒力[2]──一冬に何回も実験を

耐寒力というものの微妙な一例で、サボテンの松カサの様なイボサボテンというのがある。原産地はロッキー山脈の雪線付近に野生している。春先は地温の上昇で雪解けと同時に開花(短期間)生長し、夏からは降水なく乾いたまま。秋になると水気がすっかり凍った雪の下になり、マイナス2度の厳冬を過ごす。これを採取してきた山採株も実生株も日本では乾いているようでも空中湿度が高いので、軟弱になっており、簡単に凍死してしまう。また洋蘭の中には絶対に高温の必要なものがあるが、カトレアやデンドロビュームの春夏咲きのものには9月から栽培に水を控えるが、更に乾かし気味で日光に十分あて、通風して育てると、マイナス1度や2度では凍死せず、葉は少々傷んでも花は立派に咲く。高級植物のみでなくて雑草も全く同じ。ノボロギクという菊科の世界的な雑草は当地では冬傷んでも大きくも小さくも越冬するが、宮崎市ではマイナス3度で度々凍死し、余程の日だまりでもマイナス7度で完全に凍死する。
氏より育ちというが、氏と育ちの両面で、耐寒性は寒さを一冬に何回も色々の温度で実験できるのは辰野のような気温変化の多い所でなくては出来ぬ仕事。挑戦! 挑戦!
   (辰野日報・昭和58年11月19日掲載)

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