ツバキ──当地では鉢植えで

盛んに暖地の植物を求めたり、もらったりで、この秋は辰野でキンモクセイの香りをはじめてかいだ。無事に越冬してくれればよいが。ギンモクセイの方がキンモクセイより耐寒性は強いが、今までの気候がつづけば当地ではじり貧で失われてしまうだろう。上諏訪の親類の者が植木屋さんからサザンカの垣をすすめられたが、如何に高価でもとても安全越冬はできない。ツバキの耐寒性の最も強い乙女椿(オトメツバキ)は寒風にさらされぬ所では当地で安全越冬する。大部分の椿の園芸品種は当地では鉢植えで盆栽作りするのがよい。戸外で越冬し得ても花弁の縁が霜やけして咲き、美しさを発揮できない。北陸の雪ツバキ、雪アオキは雪の下で越冬するので、当地の雪のない所ではほとんど乾枯死する。なおツバキの漢字は山茶で、椿は全くの別植物。サザンカは山茶花が正しい。鉢植えで夏から楽しんで来たハイビスカス(ブツソウゲ)やホクシアも凍らせたら駄目の花木。そして乾きすぎても枯れる。シャコバサボテンの栽培も大分上手になったようだが、来年はもっと早く屋内の日当たりの良い所にとりこもう。購入したばかりのシャコバの鉢物は低温にしたり寒すぎると落蕾する。ストーブの傍らは急に暑すぎ乾きすぎで之もダメ。
好天時に戸外に出した観葉植物等は午後2時かおそくも3時には屋内に取り込む事も忘れてはならない。
   (辰野日報・昭和58年11月26日掲載)

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