厳冬期の剪定──芽の上の枝は長く残す

庭木果樹等のうちで真冬の間に剪(せん)定をしておかねばならぬものはブドウ、カエデ、キウイフルーツとバラである。蔓物は一般的に2月中旬になれば水を揚げてくるものもあり、暮れから2月上旬までに剪定を終らなければならない。蔓性のもので冬剪定してはいけないのは、ノウゼンカヅラで、この植物は4月下旬の発芽時が良い。カエデ類の小枝はよいが、太い所は冬切っても春になって水を吹き出して止まらぬことがあるので、切り口が乾いたところで、接ぎロウをしっかり塗りこんでおくのが安全。ブドウは芽と芽の中間より上で切る。残す一番上の芽の上が長い程よい。バラやキウイの強い発育枝は中心の髄が太いのでその中が枯れこみ、切り残した、のばしたい一番上の芽さえ枯れたり弱ることがあるので、特に芽のすぐ上でなく、次の芽の下を切る様に心掛けたい。
すべての剪定について指導書やテレビ等では残す芽の真上を斜に切る様に書いてあるが、当地の冬の気候からすれば、剪定期が早くも遅くもこのすぐ上を斜めに切るのは害がある。斜めに切るのは切りやすいからである。何も苦労して目の悪い人が芽の真上を切らないでもよい。芽より先の部分は翌年太くならず、そのうちに枯れてしまう。外観や手間の問題よりも上芽が弱るので芽の上の枝はできるだけ長く残して剪定しよう。
在来の間違った芽の真上部剪定をいかにもベテランぶって日本中の人が押し売りしているのにはあきれてしまう。この残す部分の長短で下の枝ののびる方向は変わってくるが、真っ直に頂芽をのばしたい時は当地では発芽してから余分を切る方がよい。
   (辰野日報・昭和58年12月?日掲載)

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