大木を大切に[4]──元気の良い梅は若芽の時から取る

梅は長命の樹であるが、ご機嫌が悪いとなかなか太くならない。若木は肥えて日の当たる所では驚く程大きくなる。梅切らぬ馬鹿という言葉があるが、元気の良い木はいくら切っても芽が吹いてくる。しかし元気のない古木の切り込みは危険である。古木は必ず2〜3年間かけて根回しをしながら不用の太い枝を切り縮めていく。野梅の盆栽の太いのは年数をかけて古木を切り縮め、元木の花が気に入らなければ低い所の枝や幹の膚が元気になった所へ適当な品種の枝を接ぐのである。暖地のクスノキやクロガネモチは枝や根を丸太の様に切り込んでも活着するが、梅や柿は太い根を切った場合、新根は発生しにくい。従って柿の古木は植えかえは断念、梅の大木は枝振りよくするには太枝や幹を一気に切り落とさず、新枝の発生と生育の具合を見て最終の基幹を決定する。根の方は一気に根を切り縮めることなく2〜3年計画で3分の1あるいは2分の1ずつ根を切り縮める。50年100年かかって育った太い梅の木は慎重に数年かけて植えかえたい。梅の元気の良い木は幹枝の上側から強い芽が出て、数年で太くなり側方の枝を弱らせるから、幹の上側から出る枝は秋や冬を待たず若芽の時から絶えず掻き取り、上側に芽の出やすい所をなくすことに心掛ける。
   (辰野日報・昭和59年2月?日掲載)

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