大木を大切に[11]──大枝切りは晩秋以降

自然の大木を作るには若木の時代は数本以上植えて大きくなるにつれ素性の良い木を残せばよいが、庭木となると自由に枝をのばしたのではいくら広い面積があっても狭くなってしまう。狭い庭の木を幹や枝を太く育てたい場合は、若い木の時代から将来の幹の形や枝くばりを考えて強い枝を長くのばさぬように2年に1回位は切りかえすこと。太い部分に枝がなくなっていわゆるはげになってしまうから、太い所の小枝は枝葉をつけて短く保存する事が大切である。無理にひねくり、また大枝を落とした痕のある模様木でもこの太い所の小枝に少しでも日をあて風通しを良くしてやる心掛けが大切である。
さて完成した庭木の手入であるが実や花を楽しむ庭木の類は一般には晩夏から枝切りを始めるが、これでは翌年の花芽をつける事はできない。もう大きくならなくても良い木でも庭屋の都合もあろうが新しい枝葉を丸坊主に近く初秋前に刈りこむのは人の手足をチョン切ると同様の荒作業で木の為には非常に悪い。花木等は落葉期になって花芽の完成した時に枝切りを行うべきである。街路樹は毎年暴風で倒れた写真を見せられるが、豊橋市で落葉後かその直前に整枝、枝切りをする様になってからは暴風で街路樹は倒れなくなった。大きくしたい木の大枝切りや刈込は晩秋以降で冬の間にしよう。
   (辰野日報・昭和59年4月14日掲載)

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