播き付けと間引き──少なくとも10センチ間隔に

野菜や花の播(ま)き付けと間引きの時期となった。平床に一面に播きつけると一様に生えて、その後の間引きとか移植が遅れがちになる。つまみなや早生の大根などおろぬいて食べる予定なのが食べきれず、過密となって、葉やホウレンソウなどもすぐトウが立って花が咲き食べられなくなってしまう。それで、これから播く方はすべてのものを少くとも10センチ間隔の条播きにする様に、また平播きにしてあるものは生えたら小さいうちに10センチ位の幅に思い切り全部間引いてしまう。次に残した条になって生えているものはぞくぞくと密に生えている所をごっそり抜いてしまう。ちょっと荒療治の様であるが、本葉が出たり遅れても2〜3枚の葉の出るころまでにうすくしてしまう。もったいない様であるが、生えたばかりの苗は小さい様であっても根は深く広がっており、非常に強く促効性の肥料を吸ってしまう。ぼつぼつ間引きをしていたら残した株の肥料不足になるばかりか大切な根を切ってしまう事になってますます生育を悪くしてしまう。菜っ葉や大根などは初期の間引きの間隔を少くとも最初の2〜3枚の葉ののびた時の間隔にしたい。
これから播くものは野菜でも花でもみんな同じ。何でも播く時に大きくなった時の事を考えて条播き、条間引を必ずしよう。条播きの場合は棒で浅い溝をつくって底に播き、両側の土をかき落とせば多少多く土をかけてもよく生えよく育つ。
   (辰野日報・昭和59年5月6日掲載)

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