冷夏長雨対策──高あぜが必要

大変に不順の天候が続く。今後の雨の模様の予測はつかないが、相変わらず乾燥が続くとは思われない。しかし、雨を待っていたのでは、草花も作物もすでに水を欲しがっている。播(ま)いた種子が発芽しても幼根は水不足で枯れかかっている。土の中の水分が徹底的に不足しているので、少しばかり灌(かん)水しても表面がちょっと湿るばかりで、毎日少量の水をやっていたのでは効果がない。鉢植えの植物も芯の方の土まで乾ききっているので、水の中に1〜2時間つけて完全に鉢土を湿してやる。露地物はドバッと多量の灌水をする。まあ、こうした天候では多量の灌水をしたり、畑の条間に水を流したりすると、これが呼び水となるかどうかは知らないがその後で大雨が続くこともある。
冬から一気に夏となり、それから春冷に入った極端な年は、これで戦後2回目。冷夏長雨型の天候の可能性が多いから、一雨降ってからトマトやナス、花苗を植える時は少くとも10センチ以上の高畦(あぜ)にしておくことが必要かと思う。高畦の立て方は、三角型に土を盛り上げるのでなく、低く上面の広いカマボコ型が良い。1メートル畦の場合は盛り上げた幅が60センチ位は欲しい。その位の幅があれば通路となる畦底の深さは15センチ欲しい。特にトマト、ナスの青枯れ病や萎凋病で葉や茎の枯れる病気は低畦で発生しやすい。この病気は数年は畑に残るから、今まで発生した畑に植えぬが安全。
   (辰野日報・昭和59年5月19日掲載)

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