根から伝染する病気──すぐに抜いて焼却

一雨降ったものの土は深い所まで乾いているのですべての生長はにぶい。そしてこの間の暑さは忘れた様に低温の日が続く。普通の年は小さなハチの巣がどこにでも見られる。スガレほどの黒に黄褐色のヌカバチなどと呼ばれる春早くから活動する小さいハチが今年も巣をかけ始めているが、今年ほどそろって、絶対に雨のかからぬ様な所に巣作りをするのも珍しい。冷夏長雨型の生物相の一つである。
こんな年にはトマトやナス、花ではサルビアやエゾギクは青枯病、萎凋病、半身萎凋病にかかりやすい。この3つの根から伝染する病気は、一度発生すると、それらを数年作らなくてもその畑に残る。農具や履物についても伝染する。この病気のある土で育苗した苗からも伝染する。クロールピクリンという劇薬で畑土を燻蒸するか前記の作物や花を4〜5年作らないこと。夏の間にあぜ間に水を通しすぎて根腐れを起こさぬこと。少なくも一度出た所から1メートル離して植えることが必要。枯れた草体を田や川に流すと下流に伝染する。1本発病すると根が腐り隣の株の根に伝染する。罹った株は即刻抜いて焼却し、1メートル4方くらいの土を掘りかえして穴の中に石灰窒素を1リットルほどを入れてかきまわし、掘りあげた土を埋め戻す、周囲の植物にかかると葉がかれる。(病状は次回)
ツツジなどの枝の凍死した木の芽出し肥は硫安などの速効性窒素を使う。
   (辰野日報・昭和59年6月3日掲載)

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