萎凋病と青枯れ病──茎葉・根から伝染

トマトやナスなどの根からくる病気は毎年どこへ行っても見られる悪性のもので、一度発生すると4年から5年は病菌がその畑に残っている。病気にかかった茎葉や根で伝染する。
青枯れ病は夏の高温期に発生しやすく、葉がちょっとしおれたと思うと1〜3日くらいで全草しおれて枯れる。数日後には地中の根や地際の茎は柔らかく腐り、隣の株の根にふれるとそこの株に伝染する。夏の乾く時にあぜ間に長く水を通しておくと特に早く伝染する。伊那市で昔5アール程の畑が1週間程で全滅したことがある。それ程激症の病気である。あぜ間に灌(かん)水用に水を流す場合はごく短時間ですますこと。
萎凋病は早い年は6月中旬から始まる。青枯れ病が茎の上部からしおれ始めるのに対し、この病気は根元の下葉からやつれ、5〜7日で全草しおれてくる。同時に根も茎も腐って隣の株に伝染していく。青枯れ病と同様に1株がかかるとたちまち5株や10株はやられてしまう。トマトはこの2つの病気で根も茎葉も枯れても青い実は不味ながら紅熟してくるので放任しやすいが、発生したら出来るだけ早く茎を切り、根はできるだけ除去する。
半身萎凋病はナスによく見られる。花が咲き始めるころから葉の半分枯れるのに始まり、茎の一側が枯れあがっていく。急に枯れることはないが、徐々に大きくなった株でも枯れていく。この病気はトマト、ナスのみでなくキュウリにも出て、長年畑に病菌が残る。
   (辰野日報・昭和59年6月10日掲載)

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