園芸文化賞について[1]──季節と地域による指導

20年程前まではどの園芸書や雑誌を見ても関東や関西での栽培法しか書いてなく、30年前には農業の専門の発表さえどの地方で行われたか書いてない始末。ある専門誌の社長さんが戦前から懇意だったので、お願いして、どの論文も時と所がわかる様にしていただきました。ところが、一般ではそれが行われないので、特に寒地の人の作業には不便でした。そこで出版やテレビの関係の方々に南北に長い日本の園芸指導に地方の季節の作業も入れてくれなければ原稿もテレビもお断りしてきて、まずNHK関係でそれが取り扱われるようになったのが15年前。やっと園芸関係は北や南の人も季節に応じた作業が指導されるようになった次第。講談社のフルールという大きな園芸書は私に球根ベゴニアや二、三種の原稿を書かせるために、随分大きな編集の変更をして北や南の記事を豊富にしてくれました。
辰野日報の私の園芸記事は辰野を中心としその地方の気候に合わせた全国で最も精密な栽培指針であるわけ。長野、上田、飯田の気候とは、いざ植えたりまいたり、また越冬法等は随分と違います。まあ限られた原稿で、去年書いたことをまた忘れて書いたら、叱られ、また忘れたからまた書けとの注文もあり、まあ本紙の園芸だよりも私の園芸文化活動の地域奉仕と思って書いている次第。実は、年をとるとこれだけ書くのも大変ですよ。
   (辰野日報・昭和59年6月17日掲載)

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園芸事はじめ/信州でガーデニングを楽しむためのエッセイ集