園芸文化賞について[2]──早咲きの花菖蒲をつくる

皆さんは花を作って良い身分と評しますが、世界中の園芸家相手に負けないものを作り、今までと違った用途を開発したり、それを売らねば生活はできず、他を知らぬば置き去りにされ、独孤の仕事の連続です。
品種改良の仕事で一つの例は、当地ではアヤメといいますが、これは大誤りで、正式にはハナショウブ(花菖蒲)です。上片桐出身で農業上非常に広範囲に深く研究された農学博士・宮沢文吾先生(御遺族御奥様は上辰野にお住いで宮沢朝子様)が神奈川県農業試験場で上げた業績の一つで花菖蒲の品種改良事業は世界的に有名ですが、最後の御仕事に早咲の花菖蒲育成をすすめられました。これを弟子の一人として継承して早咲の花菖蒲をたくさん作りました。この名をつけるのに苦労しました。背の高いのは信州の高山名、絞りの花は川の名、比較的に草丈の低い種類には地名。例えば片桐の里とか箕輪の里・八乙女、小式ケ城、王城山等々で70品種程。これらは在来早咲種より10日早いものもあります。現在は各地の花菖蒲園では吉江系早咲花菖蒲を栽培する事によって今までより1週間から10日も早く咲き始めるので観光地では大喜び。今までより花菖蒲祭が10日も早いので大歓迎。地元でも如何。今年はどの花も大遅れなのに最早咲種は6日遅れで咲き始めました。外国に知られたら大変。
   (辰野日報・昭和59年6月?日掲載)

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