八重オモダカ──多くの花弁が魅力

種苗会社のカタログにのった草花が、発売初年から当地の庭先でどこでも見られるようになった。急速に当地の園芸も第一級地帯になった。涼を追って水草をちょっと。
「八重オモダカ」は細い鉾(ほこ)状の葉の間から花茎を伸ばし白い花をつける。花弁はものすごく多く球状で基本種より花は大きく花期も長い。直径2センチ余、普通の植木鉢に植え、水槽に入れておけばよい。球根を見ると、オモダカより大きく、クワイ状で大きいものは直径3センチ。新球は親株より20センチくらい離れてできる。小鉢では鉢内を地下茎がグルグル回ってその先に新球ができる。鉢植えは4〜5月。
「スイレン」は茎が水底の泥の中を横に長くはいまわって生長、その生長点から葉や花を出して水面に浮び花を咲かせるもの。茎は長く伸びず球状になるものの二種がある。前者は寒帯の沼にまで生育する。ヒツジグサの仲間で寒い地方でも高温地帯でも栽培できる。後者はいわゆる熱帯スイレンである。熱帯スイレンは大きな鉢に植え、高温である程度大きい花が咲く。夜開性のもので、特に園芸人の夢。当地方でも熱帯スイレンは作れるが、近年は冷夏なので、7月に入らないと発芽せず開花も少ない。スイレンは強い地下茎を3〜4月、平鉢に植え池中に入れる。多肥を好むので固形肥料を多く培養土に埋める。底が沼の池に植え込むと大変に壮大に育つ。
   (辰野日報・昭和59年8月5日掲載)

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