秋まきの草花──播種、移植は慎重に

気象庁も私も冷夏予報は見事にはずれた。この後に発生する台風の経路によっては、まだ暑い秋が続くかも知れない。こう長期高温強日照が続くと大地はすっかり暖まっているので、菜葉、大根播(ま)きは覆土を厚めにしないと乾いて発芽不良となる恐れがある。秋は先がつまっているので、播種も移植も慎重に。
秋播きの草花のパンジーや矢車草を播く時期。この辺の露地では、キンセンカは越冬しない。サルビアや百日草は9月中旬までが良い種子をつける。マツバボタンは八重咲きの株から採種する。
秋植え球根の中で大至急植えつけなければならないのはキバナタマスダレ(ステルンベルギア)で、黄色5弁の花を9月上、中旬に咲かせる。冬に少しでも日が当たる場所なら当地方でも越冬する。一度植えると数年は咲いてくれる。夏の暑さに疲れた草花の中で、地表に新鮮な緑葉と鮮やかな黄花は美しい。
机の上でも咲く球根として知られているイヌサフラン(コルチカム)は、球根を土に植えずに、机や窓辺におき水を与えなくても咲く。光線が弱すぎると白い花で、いく分日が当たると薄桃色になる。普通の一重種は花が終わってから球を植えつけると、春になって葉が伸びてくる。八重咲きのウオーターリリーは机上でも咲くが、9月の初めに地植えにするか、深鉢に植えた方がより美しい花を咲かせる。一重種より開花期は遅い。
   (辰野日報・昭和59年9月2日掲載)

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